関東地区電気エネルギーを考える委員会主催の施設見学会が開催されました。

関東地区電気エネルギーを考える委員会主催の施設見学会が開催されました。

日 時:令和4年12月20日(火)14時00分~16時30分
場 所:古河電気工業株式会社平塚事業所(古河電工産業電線株式会社平塚工場)
    (神奈川県平塚市東八幡5-1-9)
ねらい:少子高齢化、人口減少が進む中で、サスティナビリティ社会の実現に向けては、
    女性の一層の社会参画、高齢者の益々の活躍が期待され、そのためにも生産性の向
    上は目下の課題です。
    その様な課題を見据える中で、従来の銅導体ケーブルに代わる新たな部材として、
    アルミ導体ケーブルが注目されています。
    アルミ導体ケーブルは、素材の性質上銅導体ケーブルに比べて軽量かつ柔軟性に
    優れ、小さな力で作業が可能なことから、現場作業の省力化や作業性向上に貢献が
    期待される部材です。
    多様な人々にとって働きやすい職場環境を実現しつつ、生産性の向上を強く推進
    する指導者を育成するため、アルミ導体ケーブルの製造・普及を牽引するメーカー
    工場の見学会を開催いたしました。

 本施設見学会では、神奈川県平塚市の古河電工産業電線株式会社平塚工場さまのご協力のもと、同社の取り扱う、低圧アルミ導体ケーブルと専用端子や工具の説明、工場内の見学、実物を手にとっての従来品との比較体験等をとおして、次世代の資機材について知見を深めました。

 同社からの説明によれば、素材のメリットとして、従来品との比較において、同サイズで50%程度、1サイズ太くなったとしても70%に重量を抑えられることが挙げられ、これによりアルミ導体ケーブルを使用する工事業者としては、施工時の省力化や、取り回しの向上による作業時間短縮等のメリットが見込めるとのことです。
 実際、同社の行った現場での作業実績比較においては、延線時間が1/3~1/2程度削減された他、一日あたりの人工を、平均40%程度減らすことができたそうです。

 気になる技術基準への適合については、従来の銅導体ケーブル同様、電気設備技術基準・電気用品技術基準に適合しているとのこと。
 また、同製品はJCS4348(一般社団法人日本電線工業会規格)に準拠して製品化されており、JIS規格品ではないものの、内容としては導体材料以外同一の規格であり、JIS規格品と同等以上の製品となっている旨説明がありました。
 アルミ導体ケーブルの普及が進むことで、将来的には同JCS規格がJIS規格となる可能性もあるとのことで、是非とも現場でも積極採用し、有用性を広めてほしいとの弁がありました。
 説明を聞いた委員からは、高圧用ケーブルの有無について質問がされ、これに対し、現在は600V用のみであるとの解答がありました。
 これを受け、更に委員より、将来的な製作予定の有無について質問がされ、これに対しては、6kV用の検討を進めているとの解答がありました。

 商品説明の後は、工場見学に移り、普段使用している銅導体ケーブルや、アルミ導体ケーブルが作られる過程を見学したほか、工場内に設置されたアルミトレーニングセンター(体験ブース)にて、実物のアルミ導体ケーブルに触れ、製品性能や使い勝手を手にとって確認しました。
 ケーブルを巻いたドラムの移動、ケーブル延線、ケーブルの曲げ作業にかかる負担等を、長さ・サイズとも同等のもので比較し、その軽さや取り回しやすさに触れ、現場で採用した際の生産性の向上具合を体験することできました。
 同ブース内では、ケーブルだけでなく接続の部分についても体験が可能となっており、専用端子台のキャビネット占有具合の見学や、端子の圧着、専用ソケットによる皮剥ぎ・ブラッシング等、同社がアルミ導体ケーブルとパッケージ化し提供している製品群の使用感を確かめました。
 ブース担当者からの説明によれば、現在までの同システム採用実績は、359件(重複含まない)となっており、特に太陽光発電所の現場での採用が多いとのことでした。
 太陽光発電所は、屋外の現場ということで、昨今問題となっているケーブルの盗難問題があり、地金相場が銅よりも安価なアルミが注目される側面もある旨が触れられ、委員各位も納得の表情でした。

 工場見学ならびにアルミトレーニングセンターの見学が終了した後は、同社より「今後ともアルミ導体ケーブルの普及にご協力をお願いします」と結ばれ、施設見学会は解散となりました。